お知らせ,益田屋の記事
新メニューで需要開拓
「神戸新聞」
掲載日:平成15(2003)年6月24日
-10.益田屋(神戸市東灘区) そば粉販売 -
-「新メニューで需要開拓」-
アイスクリーム、せんべい、コロッケ。ずらり並んだ食品の原料はいずれも、そば粉。「繊細な味わいがあるし、他の食材の味を引き立ててくれる。健康志向
にもぴったり。いいことずくめでしょ?」。開発担当の益田稔子(47)は、笑顔でアピールする。戦後間もない一九四七(昭和二十二)年、父で現会長の昭
一(77)が創業。復興や経済成長とともにそばの消費も社業も伸びたが、九〇年代に入ると、コンビニや外食チェーン店に押され、粉を買ってくれる「町の
そば屋さん」の廃業が相次ぐ。九五年の阪神・淡路大震災も拍車をかけた。「得意先が三割ほど減った。でもいつの時代も、そばの魅力は不変。要は、どうし
たら食べてもらえるか」と稔子が考え抜いたのは、そば粉を使った新メニューだった。粉の分量や味、製造機械の調整に苦闘しながら、コロッケなどを立て続
けに開発。そば店だけでなく和食の専門店や土産物店も関心を寄せた。
一方で、料理に使いやすいようネギや卵と合わせて加工した粉も開発した。「そば粉には血管を強くする成分が含まれるが、水に溶けやすく、めんにしてゆで
ると流れ出る。他の料理に使えば、ゆでずに済む」。薬剤師の資格を持つ稔子ならではの視点だった。薄焼きや、揚げ物の衣、かたくり粉と同様のとろみ付け
など、そば粉の使い道をさらに広げた。「今は洋食の研究に力を入れているところ。自然食レストランなどにも使ってほしい」
二〇〇一年度のそば粉の国内消費量は、前年度比2・8%増の十三・三万トン(農林水産省)。健康食として注目されている点が、追い風になっている。「で
も一番広めたいのは…おいしさかな」。最後に一番、力を込めた。=敬称略=(佐伯竜一)
データ
現社長は会長の長男、照久氏(45)。売上高約6億5千万円(2003年2月期)。従業員約20人。通信販売を行うほか、多くの人にそばに親しんでもら
えるよう、そば打ち教室も開く。TEL078・857・0220
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新商品相次ぎ開発 健康イメージPR
「神戸新聞」
平成13年(2001年)7月28日土曜日
-「そば粉でコロッケやアイス」-
-神戸の製粉業・益田屋-
新商品相次ぎ開発
健康イメージPR
うどん文化の関西で半世紀以上、そばの製粉業を営む益田屋(神戸市)が、新商品開発でそば粉の販路拡大に取り組んでいる。高血圧予防作用がある「ルチ
ン」を含むなどの健康面をアピール。そば粉コロッケやせんべいなどの多彩な商品化にも成功している。(高見雄樹)
国内のそば消費量は年間約十二万トン(一九九九年度)。十年前から約一割増えたが、創業者の益田昭一会長(75)は「外食産業の出店などで、町のそば屋
さんが少なくなっている」と語る。同社の得意先の多くは個人経営のそば店。危機感を抱き会長の長女稔子さん(45)らが九二年から新製品開発に取り組ん
できた。「すべてが手探りだった」と稔子さん。薬剤師の経験から「そばが体にいいことを訴えたかった」と語る。特に血管を強化し、高血圧を予防する「ル
チン」という成分に着目。ルチンはそばをゆでたときに溶け出してしまうため、調理に水をほとんど使わないコロッケやせんべいなど、五種類を商品化した。
今春にはコロッケとアイスの量産化に成功、名古屋の百貨店で売り出した。
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「そば」にこだわり新商品開発
「産経新聞」
平成13年(2001年)3月1日木曜日
14版13ページ経済面
-“中堅・ベンチャー/航跡”-
-「益田屋」-
-「そば」にこだわり新商品開発-
うどん文化の関西の中で、そばにこだわる製粉会社だ。若者を中心に「そば離れ」が続く現状に不安を持ち、そばを使ったアイスクリームやパスタなどアイデ
ア商品の開発に力を入れ、生き残りを図る。 戦前は現会長の益田昭一氏の母親が、神戸市で米穀商を営んでいたが、戦後の混乱期に知り合いのそば粉メー
カーが廃業。これをそのまま引き継いで昭和二十二年にそば製粉業としてスタート。三十八年には法人化を果たした。
機械工の経験をもつ益田会長は早くから製造工程の機械化に力を入れ、昭和四十年ごろには製造工程のシステム化を実現したという。「当時は小麦の製粉業者
で機械化の波が訪れていた時代。わたしも根が機械好きなので、改良に改良を重ねて今にいたっています」(益田会長)。
現在は、原料の選別から、そば皮の皮むき、粉砕、ふるいわけ、さらにそば粉のブレンド、袋詰めまでを一貫して機械で行っている。また、コスト高にはなる
がより品質の良い製品を提供するため、石うす式の製粉機も導入した。製造したそば粉は神戸を中心に大阪、奈良などに自社で配送しているほか、そば屋のど
んぷりものに使うコメも同時に供給している。
関西は関東に比べそばよりうどんを楽しむ人が多い。さらに食生活の洋風化が進み、そばが食卓に並ぶ機会が薄れつつあるのがそば製粉業者の悩みだ。同社で
も年々売り上げは減少しており、直近でも前年比五%減だった。そこで平成五年ごろから力を入れ始めたのが、「そばにこだわりつつも、そば屋以外の販路を
拡大する」こと。そばはゆがいて、つゆで食べるというイメージを打破するため、会長の娘さんの稔子さんを中心に、レストランなどに協力を呼びかけ、そば
商品の研究会などを続けている。
まず開発したのが「そば粉ロッケ」。当初は原料のほとんどをそば粉にしていたが、改良してジャガイモとタマネギを合わせ食べやすくした。ソースではな
く、和風のめんつゆに合うと居酒屋など関西の約二十店舗で採用された。そば粉とミルクを合わせた「そばのアイス」も好評で、パッケージに「愛す」と表記
し、ホワイトデーの三月十四日にはカップルに限定プレゼントも計画する力の入れようだ。
稔子さんは「新しいものを作らないと生き残れないが、その結果がいろいろな商品開発につながった。そばは血管を強くし、血圧抑制につながるルチンを含ん
でいる。ゆがくとルチンは流れてしまうが、コロッケやアイスにはそばの良さが残る」と話し、今後もそばに対する強いこだわりをもっていく考えだ。(筆
責:中川淳)
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“神戸ブランド”そばを
「産経新聞」
平成11年(1999年)6月16日水曜日
13版12ページ経済面
-“中堅企業・成長企業/順風・逆風”-
-「益田屋」-
-“神戸ブランド”そばを-
そばの実を仕入れて、製粉している神戸市内唯一のそば製粉会社。益田照久社長は「ツルッとした食感が自慢です」と話す。
昭和二十二年に神戸市灘区で創業した当時は精米と小麦の製粉を行っていたが、取引先から「そばの製粉もしてほしい」と依頼されたのをきっかけに、そば製
粉も手がけるようになった。精米と小麦製粉は大手の進出などで徐々に量が減り、三十年代後半からはそば製粉一本に絞り、技術を磨いてきた。三十八年に法
人化し、製粉機を少しずつ増やしながら、四十七年には明石市に工場を新設。五十二年には同工場内に低温倉庫を設置した。
低温倉庫は、おいしいそばを作るためには不可欠だ。「からをむく前の玄そばは、呼吸している。また実から水分が飛ばないように保存しないといけな
い」(益田社長)。収穫当時の新鮮なまま貯蔵することが、そばの風味や栄養価を損なわないポイント。低温倉庫で貯蔵することで、一年中、収穫時と同様の
新鮮なそばが食べられるという。
また、顧客のニーズに対応して、そば粉と小麦粉を混ぜ合わせるミックス粉も製造。そばと小麦の割合は個々の顧客の要望にあわせて作っている。益田社長は
「ずっとお客さん第一主義でやってきた。独自にミックス粉を製粉して、便利なものを作っています」と身軽な対応を自負する。
昭和六十三年、神戸市東灘区の六甲アイランドに本社を移設した。その後、バブル経済がはじけ、外食産業にかげりが見え始め、取引先だった「おそばやさ
ん」が減ってきた。「後継者不足や、他の業態へ変わってしまうところが多いようです」(同)。売り上げも減少してきたため、麺として食べる以外のそば粉
の生き残る道を思案し始めた。
そば粉には、血圧を下げる効果のあるルチン(ピタミンPの一種)、肝臓の機能を強くするコリン(ビタミンBの一種)、コレステロール増加を抑える食物繊
維などが含まれており、健康に良いという。そのため、「これだけ体にいいものを、多くの人に食べてもらいたい。そして、そば粉の需要の伸び悩みをカバー
できれば」(同)と、そば粉を使った新商品開発に力を入れ始めた。これまでにアイスクリーム、コロッケ、せんべい、かりんとうを商品化。さっぱりした味
わいが好評だという。
昨春には、料理に自由に使ってもらおうと、そば粉そのものを「10割そば粉つくす」の商品名で売り出した。水などで溶くと天ぷらやフライの衣にできる。
牛乳で溶いて焼くとクレープとしても食べられる。そぱは、素材の味を引き立てる役目があるため、さっぱりとおいしく料理したいときに適しているという。
長引く不況と阪神大震災の影響で、売上高は最盛期の六割ほど、と非常に厳しい状態。しかし、益田社長は「”神戸ブランド”のそばを作っていきたい。ま
た、新商品開発を続け、多くの機会にそばを食べてもらいたい」と意欲的だ。
「神戸新聞」
掲載日:平成15(2003)年8月25日
-「そばを洋風コースに 製粉会社が味わい研究 」-
そば粉の新たな需要を掘り起こそうと、神戸のそば製粉会社が、そばを使った洋風コース料理などを研究している。調理に使いやすいよう開発した新タイプの
そば粉を用い、わき役に主役にと、バラエティー豊かな味わいを考案、市内の協力店で提供している。(佐伯竜一)
六甲アイランドの益田屋。開発担当・益田稔子さん(47)らが「健康的で味も抜群。もっと魅力を伝えるきっかけに」と、十年ほど前から取り組んでいる。
考えに賛同した神戸の洋食店で試食会を開くなど、魅力を磨いてきた。
そばの変身ぶりは、さまざま。春巻きや揚げ物の皮になったり、ソースのとろみになったり、さっぱり味のパスタになったり…。そばアイスを挟み込んだク
レープも生まれた。
「そばの独特の風味はメーンにも据えられるし、別の素材の引き立て役としても重宝する」。粉をそば焼酎(しょうちゅう)で調合するなど工夫を重ね、神戸
の料理店への紹介を続ける。
中でも神戸市灘区にある家庭料理店「ふらんどーる」はコースを予約メニューとし、日ごろもピザ、パスタ、グラタンなどをそろえる。管理栄養士の資格も持
つシェフ・久語立子さん(67)は「血管を強める成分も含んでおり、健康的。ファンも増えてきた」。
益田屋が得意先としてきた町のそば店は、めん類も扱うチェーン・レストランの台頭やコンビニ製品の普及で苦戦を強いられている。売り上げも得意先の数も
ここ十年で約三割減ったといい、益田さんは「そばの数多い特長を生かし、販路を広げられたら」と話している。
ふらんどーるのコースは四千円。TEL078・821・9092